カットの仕上がりが変わる!ハサミの選び方と使い分け

トリマーとして日々ワンちゃんのカットをしていると、技術やセンスと同じくらい「道具の選び方」が仕上がりに大きく影響することを実感するのではないでしょうか。特にトリミングに欠かせないハサミ(シザー)は、毛質やスタイルに合わせて正しく選び、使い分けることで仕上がりのクオリティが大きく変わります。

この記事では、プロのトリマーさん向けに ハサミの種類・選び方・使い分けのポイント を徹底解説。さらに、導入や買い替えを検討している方に役立つチェックポイントや、長く使うためのメンテナンス方法までご紹介します!

目次

1|トリミング用ハサミ(シザー)の基本種類

まずは、トリミングでよく使われるハサミの種類を整理しておきましょう。

●ストレートシザー(真っすぐ刃)

最も基本的で、全体の形を整えるときに使うハサミ。

  • 耳や足回り、顔の輪郭など「直線的なカット」に向いている
  • 刃渡りの長さで操作感が変わる(短い刃は小回りが利いて細かい部分に便利、長い刃は一度に切れる範囲が広くスピーディー)
  • 切れ味が仕上がりのシャープさに直結する

●カーブシザー

刃がゆるやかにカーブしているハサミ。

  • 顔やお尻、胸元など「丸みを出したい部分」に最適
  • トイプードルのテディベアカットやポメラニアンの丸いフォルムづくりに活躍
  • カーブの角度(弱め・強め)でニュアンスが変わる

●セニングシザー(すきバサミ)

毛量調整や質感づくりに使うハサミ。

  • 目の粗さ(カット率)によって仕上がりが変わる
  • 粗め(40%以上)…厚みのある毛をサッと軽くする
  • 細かめ(10〜30%)…ナチュラルな毛流れを残す
  • シルエットを柔らかくしたいときに必須

●ブレンディングシザー

セニングシザーよりも「段差を自然になじませる」ことに特化したタイプ。

  • 切り跡が目立ちにくく、自然な仕上がりを作れる
  • 特に仕上げの質感調整に役立つ

●ミニシザー(細かい作業用)

短い刃の小さなハサミ。

  • 目周りや肉球まわり、ヒゲ切りなど、細かいカットに便利
  • 小型犬のデリケートな部位に必須

2|ハサミの選び方で仕上がりが変わる理由

仕上がりの質や作業効率は選ぶハサミによって大きく変わります。

●毛質による相性

  • 柔らかい毛:セニングで馴染ませると自然な仕上がりに
  • 硬い毛:切れ味の鋭いストレートシザーが必須
  • 巻き毛:ブレンディングシザーで段差をなじませると扱いやすい

●犬種によるスタイルの違い

  • トイプードル:カーブシザー+ブレンディングで丸みを強調
  • シュナウザー:ストレートで直線を意識したシャープな仕上がり
  • ダックスやポメラニアン:セニングで自然な毛流れを残しつつ調整

●トリマー自身の手のサイズ・持ち方

  • ハサミの重量やハンドル形状が手に合うかどうかで疲労度が変わる

【ハンドル形状の種類】

オフセット:親指側のハンドルが少し短く、自然に持ちやすい形。手首や指の負担が少なく長時間の作業向き。

シンメトリー:両方のハンドルが同じ長さで、左右どちらの手でも持ち替えやすい形。細かい操作に向いている。

  • 長時間の作業では軽量でバランスの良いハサミが重要

3|プロが実践する「使い分け」テクニック

① カットの基本ポイント

  1. ストレートシザーで全体の形を整える
  2. カーブシザーで丸みをプラス
  3. セニングで厚みを調整
  4. ブレンディングで質感をなじませる
    → 流れを意識することで、より美しい仕上がりにつながります。

② 部位別の使い分け

  • 顔まわり:ミニシザーやブレンディングシザーで安全&ナチュラルに
  • 足先・肉球:小回りのきくミニシザー必須
  • 体全体:ストレートでアウトラインを作り、セニングで柔らかさを足す
  • しっぽ:ブレンディングシザーで丸く仕上げると可愛らしさが出る

③ 時短の工夫

  • 毛量が多い子は、まず粗めのセニングシザーでボリュームを落としてからストレートシザーで形を作ると効率的
  • 犬の性格によっては「短時間で終わらせる」ことが第一。時短のために長刃ストレートシザーや高カット率セニングシザーを活用するのも◎

4|ハサミを選ぶときのチェックポイント

実際に購入・導入するときに確認したいポイントをまとめます。

  • 刃渡りの長さ:用途に合わせて(7インチ前後はオールラウンド)
  • 重量:軽すぎると安定感がない、重すぎると疲れる
  • ハンドル形状:手の癖や握り方にフィットするか
  • 鋼材:コバルト合金やVG10など高級鋼材は耐久性が高い
  • 価格帯:安価なものは研ぎ直しコストがかさむことも
  • アフターサポート:研ぎ直しや修理対応がしっかりしているか

5|長く使うためのメンテナンス方法

ハサミは使えば劣化していきますが、日々のケアによって持ちを大きく伸ばすことができます。

  • 使用後は必ず毛や汚れを拭き取る
  • 可動部にオイルを差す(開閉がスムーズになり摩耗を防ぐ)
  • 専用ケースに保管(落下や湿気防止)
  • 定期的に研ぎ直しに出す(プロの研ぎ師に依頼するのが安心)

日頃のケアを怠ると、どんなに高価なシザーでもすぐに切れ味が落ちてしまいます。

6|導入・買い替えを検討すべきタイミング

  • 切れ味が落ちて研ぎ直しても改善しない
  • 開閉時に異音や引っかかりを感じる
  • 仕事量が増えて「使い分けが足りない」と感じる
  • 新しいカットスタイルに挑戦したいとき

→ サロンの成長に合わせて「道具をアップデート」していくのもプロとして大切な投資です。

まとめ|自分に合ったハサミ選びが、仕上がりと働きやすさを変える

ハサミはトリマーにとって、仕上がりを左右する最も重要な道具のひとつです。
犬種や毛質に合わせて使い分けることで、カットの完成度だけでなく、作業の快適さやスピードも変わってきます。「自分の手に合った一本を選ぶ」「シーンに合わせて使い分ける」——こうした積み重ねが、日々のトリミングをもっと楽しく、そしてより高いレベルへと導いてくれるはずです。
ぜひこの記事をヒントに、ハサミの選び方を見直してみてくださいね!

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この記事を書いたトリマー

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